ラグビーを悪者にしないでよ [時事ネタ]
新国立競技場の建設費について、ラグビーに攻撃の矛先が向けられなければいいけどなぁ、と懸念しつつ、ずっと静観していたんだけど、こんな会話がされているとなると、ラグビーファンとしては黙ってはいられないので反撃に出ます(笑)。
□ 寝ても覚めても:ラグビーに責任はない=冨重圭以子
毎日新聞 2015年07月14日 東京夕刊
先週末の電車の中で、3人の会話が聞こえてきた。60代男性A、40代男性B、30代女性の組み合わせ。会社員ではなく、趣味の集まりの帰り、といった雰囲気だ。
男A「ラグビーのワールドカップ(W杯)に間に合わせるために2520億円かけるってのは、おかしくない?」
男B「(横浜の)日産スタジアムで十分ですもんね」
女「ラグビーW杯って、日本も出るんですか?」
男B「もちろん。でも決勝トーナメントに進むのは難しいかなあ」
男A「なのに、8万人規模のスタジアムなんて、いるの?」
女「決勝でスカスカだったら、かえってかっこ悪いですよね」
新国立競技場の総工費高騰問題で、最近、ラグビーが悪者になってきている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場として建設するだけなら、設計変更してもっと安く造れる。だが、設計を変更していたら、前年の19年に開催されるラグビーW杯に間に合わない、とされているのだ。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、前のラグビー協会会長だったこともあり、ごり押ししている、と見る向きもあるようだ。
でも、ラグビー関係者にしてみれば、19年のW杯開催は、09年に決まっていた話。国際オリンピック委員会(IOC)の前会長、ジャック・ロゲさんが「トーキョー」と発表したIOC総会より4年も早かったのだ。
国立競技場の全面建て替えは、W杯ラグビーに合わせ、東京オリンピック・パラリンピックが決まる前に決定していたし、ラグビー界がザハ・ハディドさんのデザインに固執したわけではない。なのに建設費高騰の原因といわれるのは、心外だろう、と思う。
ラグビー選手にしても、オリンピック、パラリンピック競技の選手にしても、巨額な建設費に責任はない。屋根が開閉式ではないのなら、旧国立競技場の改修で十分だったと考える選手は多い。まして2520億円のせいで、選手強化費が削られるとしたら、本末転倒もいいところ。もう一度はっきりさせておきたい。選手に責任はないし、むしろ被害者なのだ。(専門編集委員)
まず、この記事を書いてくれた毎日新聞編集委員さんに、ラグビーファンの一人として感謝します。
それにしても、この御三方の会話、なんて突っ込みどころ満載なんでしょう。ラグビーに関心のない人たちにとっては、こんなもんなんでしょうかね。でもね、そもそも2019年のラグビーW杯日本大会に、こんな莫大な費用の新国立競技場を建設する必要なんて、無いんです。 ザハ・ハディドさんのデザインを観たときは、正直、「なんじゃこれ!? 」でした。
そもそも、こんなデザインを選んじゃったのは誰? なんでこんなに建設費が増えたんだ? と素朴に疑問が浮かんだので調べてみたら、こんな記事がありました。
新国立競技場 コスト確認せず決定か 7月10日 15時14分 NHK NEWS WEB
改築費が2520億円に膨らんだ国立競技場について、デザインを決める最初の審査の過程で、技術的に建設が可能かどうかチェックされたものの、設定したコストに収まるのかどうかの確認は、事実上行われずに決まった可能性が高いことが関係者への取材で分かりました。
新国立競技場のデザインは2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致活動が行われていた3年前の7月、競技場を運営するJSC=日本スポーツ振興センターが、「総工事費は1300億円程度を見込む」と設定して募集し、応募した人たちもこの金額に収まることを示していたということです。
このあと、建築家の安藤忠雄さんを委員長とする審査委員会が3回開かれ、46の応募作品からイラク人女性建築家のデザインに決まりました。
この過程では、1回目の審査委員会のあとに委員会のメンバーとは別の専門家たちによる「技術調査」が行われました。この際に、それぞれのデザインで技術的に建設が可能かどうかのチェックはされましたが、設定したコストに収まるかどうか確認していなかったことが、関係者への取材や当時の資料から新たに分かりました。
さらに、委員会の議事録や当時の審査委員への取材によりますと、その後の審査では一部の委員からコストを懸念する声があったものの、複数の審査委員が「技術調査」でコストの確認も同時に行われていたと思ったということで、最後は、オリンピック招致のためのインパクトを優先して今回のデザインが選ばれたと見られています。
1300億円と設定されたコストの確認が事実上されないまま、デザインが決まった可能性が高く、その後金額が二転三転した要因になったとみられます。
まじ? いやいや、ビックリ。誰も工事費の確認は、してなかったのか。そういうことかぁ。
- JSC → 1300億円程度で応募してね♪
- 審査委員会 → このデザインいいじゃん◎ (あとは技術専門家さんよろしく~)。
- 別の専門家たち→ 技術的にはこのデザインでも建設できるよね☆ (工事費は当然1300億円程度でしょ)。
一部の審査委員からは、コストを懸念する声もあったそうだが、その意見をもっと押していたらねぇ・・・・。
新国立競技場は2020年東京オリンピック招致のために日本スポーツ振興センターが募集したものなんだよ。2019年のラグビーワールドカップに間に合わせるためじゃないからね。それに、間に合わないなら新国立競技場じゃなくてもいいんだから。60代男A、くれぐれも間違えないように。
9月からイングランドで開催されるラグビーワールドカップでは、日本代表選手たちが人々を沸かせ勝ち進んでくれることを願ってます。
おはようございます
サファイヤさんのおっしゃるとおりで、ラグビーワールドカップ日本大会はオリンピックより先に決まっており、国立の問題はどちらかというと巻き込まれた方だと思っています。
一昨年の秩父宮でのオールブラックス戦。超満員の競技場内で、2019年のためにもこれに慣れておかないとね!と話をしていた女性のセリフを忘れる事は出来ません。
by アニ (2015-07-16 07:01)
☆アニさん
こんにちは。いつもコメントありがとう。
その後、それぞれの発言記事も読みましたかせ、やはり巻き込まれた感、仕組まれた感は否めませんね。
>超満員の競技場内で、2019年のためにもこれに慣れておかないとね!と話をしていた女性のセリフを忘れる事は出来ません。
そう、大切なことは、世界中から来てくれる選手と観客さんたちが、日本の大会は素晴らしかったと感じてもらえる大会にすることですね。この女性ファンの発言を心に留めていきましょう。
by サファイヤ (2015-07-17 14:25)
わけもわからず批判する人が多くてあきれます。日本人はラグビーもサッカーもまだまだ理解がすすんでいません。スタジアムに実際に足を運んで欲しいですね。
by 袋田の住職 (2015-07-18 07:31)
ワールドカップの競技場問題、当初は国立の増改築で対応の腹積もりだったのでしょうが、オリンピックが決定してそっちの予算でやってくれるのでラグビー界には渡りに船だったけど、こんな騒動に発展してして巻き込まれて、しかもラグビーを他に回せば見直し期間が出来ると好き勝手に言われて、災難ですわ。元々、ラグビーが最初で動き出したと言うのに。しかも、こっちは野良犬みたいに追い払われて、五輪はちゃっかり見直しスタジアム使用かよ。
私は解体話のある秩父宮を募金を募って、増改築で国立分を引き受けて、聖地を現存させる案をプッシュです。周辺が厳しいみたいですが、リフォームの匠に何とかしてもらえないかな~。募金で秩父宮を残したとなれば、ラグビー界に伝わる美談になるのにね。
村上晃一氏のブログのコメントを見ると、案外日産Sで良いだろうって聖地を大切に思わない人の多さに驚きましたわ。
by トリック (2015-07-18 10:10)
☆袋田の住職さま
同感です。何も確認せずに批判しないで欲しいです。
ラグビーワールドカップは、完全に被害者です。
by サファイヤ (2015-07-20 17:51)
☆トリックさん
おっしゃる通り。先に決まっていたのは、2019年ラグビーワールドカップ。開会式を新国立でこけら落としをするはずが、後からやってきたオリンピック振り回されて、間に合わないからラグビーは他でやってねと、この扱いは無いです。ちゃっかりです。
それに、3000億円っていう話もあったようですが、どうしてその時に「高い!」と騒ぎにはならなかったんでしょう。
秩父宮も酷い扱いになってますよね。協会とか何も言わないんでしょうか。いや、言えないのか。
新国立競技場のコンペについて、森山高至氏のブログに詳細が書かれています。
費用も期間もそれほどかけずにリファインでき、8万人もクリアできたらしいです。
http://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-11711250355.html
もっと早く知っていれば良かった・・・。
by サファイヤ (2015-07-20 18:19)